あらすじ
11歳のソフィと31歳のカラム 父と娘、ひと夏の記録映像
大人になってから見返すと楽しかったバカンスの思い出とは別にそのとき見えてこなかった父の苦悩が見えてくる。
作品の魅力：美しい思い出と残る謎
リゾート地での親子の休暇 綺麗な海、音楽と観光ツアーを楽しむ。
そんなゆったりとした時間を過ごした思い出とは裏腹にその思い出の中で見え隠れする父の不穏な描写が作品に謎を残します。
映画の中で父の描写に対する答えは明確に表示されていません。
その謎が作品の深さが鑑賞後も大きく余韻として残ること、
観ている人がソフィと共に子供の頃の記憶、楽しい思い出を探る内に感じる懐かしさがあのリゾート地での映像を淡く、美しくさせてくれます
ソフィの視点から
この作品はビデオカメラ映像、ソフィの記憶、想像でソフィの視点から見せている
- ソフィから見たカラム
父は ”こんなふうに悩んでいた、苦しんでいたのではないか” というソフィの想像からくるものだからカラムの心情がはっきりと描かれていない曖昧なものになっていた。
ただ、20年後カラムと同じ歳になったソフィが人生の中で起こる小さなやるせなさや行き詰まりの積み重ねを部分的にでも理解できていることを表している。
- 11歳、子供の感覚
”30歳は130歳の世界に感じる” と話していたソフィは20年後を想像もできないような未来に感じていることがわかります
ティーンエイジャーが大人びていているように感じたり、彼らと関わった後に少し背伸びをしたくなったり、 青年、女性達がするキスやボディータッチの行動に無知ながら本能わかる気持ち悪さと裏腹の興味を感じる
子供時代の共感、あるあるがこのバカンスでの追体験で感じることができます。
- ソフィの性指向
ソフィの20年後のシーンは多くありませんがLGBTQを示唆するような女性と同じベットにいることを確認できます。
そのシーンを入れた意味、あの夏の思い出がソフィの性的指向に影響してくるからなのではないかと考えています
同年代の男の子とのキス
不意に訪れたそのシーンではティーンエイジャー達がしていたのを見て興味があったからか恋愛感情はわからない、抱いていないまま行った行為のように見てとれるし気持ちの昂揚は感じ取れませんでした。
男性同士がキスをするところを目撃
隠れるようにキスをするところを目撃したソフィはティーンエイジャーの異性同士がしていたキスや男の子にされたキスとは違って情熱的で熱いキスをしているのを目の当たりにしたことは今後の性的指向に強烈な影響を与えたのではないでしょうか
女性からソフィーへの”男はサイテー”という言葉
ティーンエイジャーグループ女性からバーの飲み物がフリーになるタグを譲り受けるソフィ、その女性は「男はサイテーよ」という言葉をソフィに残します。 英語では 「boy’s disgusting」と言っていることからかなり強い言葉であることがわかります。
フリードリンクのタグをくれた優しいお姉さんからのアドバイスは小さなことですが今後のソフィに影響を与えていくのでしょう。
- ソフィの記憶からわかるカラム像
ソフィの母とカラムが電話で話すシーンに「僕を監視しているのか」と冗談めかした風なセリフがありましたその字幕に強調するルビがありそこからカラムとソフィの母の離婚時に少し問題が生じたか、今のカラム自身に問題があるから発せられた言葉であることがわかります。
ソフィに「私と同じ歳の時は将来何になりたかった？」と聞かれても答えることはありませんでした。
船の上での40代の船員とカラムの会話の中で40歳になったら何をしているだろうと話すシーン
レストランでのソフィーとの会話の中では友人と新しい事業をやるつもりだが何をするのかは決まっていないことを話していました。
そのことから将来について漠然と不安を抱えている状況が続いていたと考えられます。
まとめ
観た人によって解釈が異なる作品。
セリフがなく映像で心情を見せるような演出が多くあることで登場人物が何を考えているのか想像が膨らみ解釈の違いが生まれてくると思います。
今回はソフィの視点から見た映像と受け取り考察やレビューをしました
心の中に撮ってある思い出は20年経っても再生される
そのぐらいその一夏は濃密で大切なものであったことを知れると同時に今の成長した自分だからこそ理解できる感覚や気付けたことがある
他人でも、ましてや家族でも完全に人の気持ちを理解することはできない。
けれどその気持ちに寄り添いその時何を考えていたのか、何を教えてもらったのか その人のことを考えるだけで切ない気持ちや懐かしい気持ちをソフィを通して感じることができる美しい作品でした。
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